実際の不妊治療

クロミフェン内服と妊娠の予後

クロミフェンは内服の排卵誘発剤で広く用いられています。今回の調査で、この薬を内服した方は169人おりました。この内、排卵して内服した周期に妊娠した方は、64人(38%)、排卵したが妊娠しなかった人が、73人(43%)、排卵したが内服しない周期で妊娠した人が、16人(9.5%)でした。排卵しなかった人は16人(9.5%)でしたが、この内3人(1.8%)は最終的に妊娠しました。

排卵しても妊娠しない方が多いのは、クロミフェンには強い排卵作用はあるものの、女性ホルモンに拮抗する作用もあるため、子宮内膜の発育が阻害されるなど、妊娠をしにくくする副作用があるためと思われます。排卵はしたが内服中は妊娠せず、別の周期で妊娠した方が、16人約10%いることはこの辺の事情によるものです。クロミフェンは優れた排卵剤ですが、漫然と長期に使用するべきではありません。

クロミフェン内服と妊娠の予後
排卵の有無 妊娠の有無 内服周期 実数 百分率
有り 有り 内服周期 64 38
有り 妊娠せず - 73 43
有り 妊娠 非内服周期 16 9.5
無し 妊娠せず - 13 7.7
無し 妊娠 非内服周期 3 1.8
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HMG,HCG注射による排卵誘発法について

HMGとHCGは卵巣を刺激するホルモン剤で、現在では広く用いられています。 この方法で排卵誘発を行った方は14名おります。 この内8名は排卵し、その方の内4名が妊娠しました。 6名の方は排卵しませんでしたが、そのうち2名の方は最終的に妊娠しました。

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卵管通過障害の治療

卵管が通りにくい場合は、妊娠が難しいので、治療が必要です。治療法としては、通水法、手術、体外受精があります。この調査では、通水法を行った方が46人おり、この内16名(34.8%)が妊娠しました。手術を行った方は9名おり、この内3名(33%)の方が妊娠しました。

通水法は生理食塩水に副腎皮質ホルモンなどの薬剤を加えて子宮内から注入する方法です。妊娠率はあまり高くありませんでしたが、手軽にできる治療法です。手術は、開口部が閉鎖している場合の卵管開口術、途中の閉鎖した部分を切除して吻合する、移植術などがあります。妊娠率はそれほど高くはありませんが、体外受精とどちらを選ぶかという選択になります。

卵管通過障害の治療成績
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人工授精(AIH)

人工授精は子宮内に精子を注入する方法で、手軽で広く行われている治療法です。 この調査で人工授精を行った方は64名おり、この内10名(16%)が人工授精により妊娠しました。妊娠しなかった54名の内、15名(23%)がその後に自然に妊娠しています。ほかに特殊な人工授精として、精子を濃縮して注入する方法があり、3名施行しました。この内1名が妊娠しました。

人工授精による妊娠率
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