不妊治療について
不妊症の治療について
はじめに
不妊症の治療をしていて最大の悩みは、不妊の原因が、はっきりしないことです。
原因のはっきりしない、いわゆる機能性不妊といわれる方が10%近くいますし、これが原因だと思って治療していてもなかなか妊娠せず、あきらめて治療をやめたらすぐ妊娠したということもよくあります。
そこで私どもは、妊娠率に影響する因子を調査する目的で、不妊を訴えて来院した方々の、既往歴、家族歴、検査所見、治療法と妊娠に関する予後の相関を調べてみました。不妊に悩んでおられる方の参考になれば幸いです。
国井クリニック 院長 國井兵太郎
副院長 國井周太郎
当クリニックの不妊治療の考え方
- 不妊治療に当たって当院ではなるべく自然の妊娠が成立するよう心がけております。
- 人が本来持っている生殖機能は簡単には失われないはずだという、信念からです。
- この統計は、そのようななるべく自然に近い治療で、どれくらいの妊娠が成立するのか、という治療成績としてもみていただければ幸いです。
不妊症に関する調査
調査の対象について
- 調査の対象としたのは、1975年から1995年までに妊娠を希望して来院した803組のご夫婦です。
- 家族歴、既往歴、等をうかがった後、基本的な検査として、基礎体温の測定、子宮卵管造影、ご主人の精液検査を行いました。
- 症例により、内分泌検査など特殊検査を行いました。
- 基礎体温表を見ながらタイミングの説明を行い、検査結果で異常があれば、異常に応じた対策を講じました。
不妊治療の期間
- 治療期間の単位を6ヶ月くらいと考え、6ヶ月治療して妊娠しなかった202例(24%)を不成功例としました。6ヶ月以内に治療をやめた症例は313例(39%)ありました。
- 妊娠した症例は239(29%)例で、このうち200例(23%)は健児を得ましたが、39例(9%)は転医や流産などで、健児は確認できませんでした。(図1)
- 妊娠した239例と、妊娠しなかった202例の予後のはっきりした442例(図2)を対象に、既往歴や検査結果など各種の因子との相関を調査しました。
- 442例中の妊娠率は、54.1%でした。
妊娠率との相関を調査した項目
- 夫と妻の年齢
- 妻の既往歴
- 妊娠歴
- 避妊歴
- 夫の既往歴
- ABO血液型不適合
- 血族結婚の有無
- 内診所見
- 月経周期
- 基礎体温
- 子宮卵管造影
- 精液検査所見
- クロミフェン療法
- HMG-HCG療法
- 卵管異常の治療
- 人工授精